現場への直行直帰って、営業の方、建設業の方などなど会社の制度として取り入れられている会社は多くあるのではないでしょうか?
業務中の運転であれば、会社の責任も問われる可能性がありますが、自宅からの直行、自宅への直帰中に万が一、事故したら・・・どうなるのでしょう?
目次
直行直帰ってどんな制度?
自宅から仕事現場へ直接行くことを直行といいます。
仕事現場から自宅へ直接帰宅することを直帰といいます。
業務中なのか通勤なのか
よくある質問として、「直行直帰をしている時間は、業務時間と判断するのか、通勤と判断するか」です。
結論としては、基本的に直行直帰は通勤時間となります。
判断としては、管理監督者の支配下に入ったかどうかです。
使用者の支配下であれば、働いていない時間(手待ち時間など)でも、労働時間とみなされます。 直行や直帰の際も、支配下にある時間かどうかで判断することになります。
出張などの長距離移動の場合は
大阪、東京を新幹線で移動など、出張中の移動時間は長時間となります。
このような場合の移動時間は、どのように扱われるべきなのでしょうか?
移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実労働時間に当たると解釈するのは困難であることから、直ちに所定就業時間内における移動時間が時間外手当の支給対象となる実勤務時間に当たるとの解釈を導き出すことはできない。(横河電機事件 東京地裁平6.9.27判決)
上記のように判例でも、移動時間は拘束性が低く労働時間とはみなされないするようです。
そうはいっても
出張するために、早起きして電車や飛行機に乗って・・・拘束性が無いといっても、休日のように自由に出来るわけでもなく、自由時間を犠牲にしているわけですから。手当の支給や出張の移動時間の取扱について検討を行うこともマネジメントの一つではないでしょうか。
社有車で事故した際の会社の責任について
まず、社員が業務中に社有車で事故した際の会社の責任について考えてみましょう。
業務中の事故の場合、会社は従業員の監督責任(民法第715条の使用者責任)を問われることになります。さらに、事故による人的損害については、自動車損害賠償保障法第3条に定める運行供用者責任も問われることとなります。
直行直帰の場合は?
前述で直行直帰は、業務ではなく通勤時間であると説明いたしましたが、判例を見ると、車両(社有車)の所有者である会社も責任を求められるようです。
もちろん、自動車保険は会社が加入したその社有車に付帯されている保険から相手方に支払うことになるでしょう。
リスクに備えるために
業務中でも移動時間中でも、社員が会社の車で事故をした場合は、どちらにしても会社の責任が問われるようです。
そこで、社有車を利用させる際は大きなリスクが有ることを認識し、リスクに備えるための準備が必要です。
- 自動車保険には十分な補償を付ける(相手方への補償については「無制限」必須)
- 社有車を利用する可能性がある従業員の「免許証」チェック(期限切れなどのリスク)
- 社有車利用管理規程を整備する(休日での利用など絶対禁止)
まとめ
直行直帰は、労務管理上は「拘束性がないので移動時間」であり給与等は発生しない。
管理監督者の指揮命令下にないとされる直行直帰(移動時間)中であっても、社有車で事故をした場合は「会社にも責任が問われる」とのことでした。
社内規程等で、社有車利用管理規定を整備し、禁止事項等を周知徹底することで、万が一の際は損害賠償の一部を労働者に請求できるかもしれませんが、労働者も業務上運転しているということを理解してあげて下さい。
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