労働基準監督署は、突然やってきます。
ドラマ「半沢直樹」の金融庁のように、突然やってくるのです。
ありのまま、あるがままの状態を確認しなければならないからです。
もちろん、事前に電話や文面で調査予定日を告げてから訪問してくるケースもあります。
しかしながら、突然、調査に入るケースの方が多いと思います。
けっしてドラマのように、ダンボールを何処かに隠したりしないようにして下さい。
こんにちは。福岡で開業した元SE×社会保険労務士の吉田です。
目次
近年の動向
「働き過ぎ防止のための取組強化」が、「日本再興戦略」に盛り込まれたほか、平成26 年11 月に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成27 年7月24 日閣議決定)が定められるなど、 長時間労働対策の強化は喫緊の課題となっています 。
こうした状況の中、厚生労働大臣を本部長とした「長時間労働削減推進本部」を設置し、長時間労働対策について、厚生労働省は省を挙げて取り組んでいます。
各都道府県労働局には労働局長を本部長とする「働き方改革推進本部」を設置し、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等の「働き方改革」について、労使団体への協力要請や情報発信等を行っています。
というように、過重労働者の自殺等の問題を受け、違法な長時間労働を行わせている企業の取締を強化している事がわかります。
またこのようなメディアの報道を受け、一般の労働者が労働基準監督署に駆け込む事例も多くなり、 労働基準監督署による調査が増える のではないかと考えます。
労働基準監督官とは
労働基準監督官とは、特別司法警察職員としての権限を持つ国家公務員であり、臨検(立ち入り調査をすること)・資料の提出・尋問などを実施することが可能です。
つまり、
- 企業や事業所への立ち入り調査
- 賃金台帳や出勤簿などの帳簿・書類・資料の調査
- 事業主や人事担当者など関係者への尋問
等を行う権限を持ちます。
特別司法警察職員と呼ばれるように、 労働基準監督官は、逮捕権を持っている ので注意しましょう。
労働基準監督署の調査について
突然調査にやってきた場合(臨検監督)、通常、労働基準監督官が2名で来られます。
監督官は、訪問の目的を告げ、事業責任者への面会を要求します。
そのタイミングに事業責任者がいなかった場合、人事担当者等が代わりに対応することとなります。
調査の内容
調査の内容や順番については、決まりがあるわけではありません。
その企業の事業内容、業種の特性などの様々な要素から判断され決定されます。
しかしながら、概ね、次のような流れで調査が行われることになります。
- 労働基準監督官から、労働関係帳簿のチェックを受ける。
- 事業主や、人事担当者からの聞き取り調査が行われ、実態を確認される。(タイムカードや勤怠の記録等労働者の勤務実態を確認されます)
- このほか、必要に応じて、事業場内の立ち入り調査や従業員からの聞き取り調査が行なわれ、実態を確認される。
- その後、指定された日時に「是正勧告書」や「指導票」の交付を受けることがある。
近年の長時間労働問題のことを考えると、「労働時間」、「残業代未払い」、「健康管理・メンタルヘルス」等を重点的に調査されるのではないかと考えられます。
対応のポイント
労働基準監督官の臨検監督は、予告なしに突然やって来ます 。突然来られると、他の従業員はかなり動揺しますが、事業主は覚悟を決めて、凛とした態度で真摯に向き合いましょう。
指示された書類、資料を準備する
監督官から、見せてもらいたい資料の指示があります。
ない場合は、正直に存在しない旨を伝えましょう。
けっして、改ざんしたり、隠蔽したりしないようにしましょう。
監督官の指示に対して、 虚偽の陳述をしたり、帳簿書類を提出しなかったり、虚偽の帳簿書類を提出した場合は、30万円以下の罰金 に処すとなっています。(労働基準法第120条)
いい機会だと前向きに考える
労働基準監督署の調査が入ると、何か悪いことでもやっていたのではないか・・・
とネガティブに考える人もいます。
が、 無料で労務監査をしてもらえると前向きに捉え 、指摘されたら是正するという気持ちで望みましょう。
もちろん、未払いの残業代等が発生すれば、予期せぬコストが発生しますが、本来支払わなければならなかったコストです。
この臨検監督を機に、社内環境を整備し、従業員との関係をより強固なものにできると考えることが出来れば、臨検監督も前向きに捉えられるのではないでしょうか。
真摯に対応する
最も大切なのが、「真摯な対応」です。
前述しましたが、労働基準監督官は、特別司法警察職員としての権限を持っています。
舐めて掛かると、証拠物品の押収っていうこともありえます。
「真摯な対応」により、監督官の心象も随分違います。監督官も人間であることを考え、指摘された内容は真摯に受け止め、前向きに是正するという気持ちで望みましょう!
まとめ
突然、労働基準監督官が来れば、かなり焦ることと思います。
しかしながら、会社の発展、従業員の幸せを願う経営者であれば、「とてもいい機会である」と前向きに捉えられることが出来るかもしれません。
この臨検監督を機に、社内環境を整備し、従業員との関係をより強固なものに出来れば、企業はより一層前進することとなるでしょう。
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