こんにちは。福岡市西区の元SE×社会保険労務士の吉田です。
この間、働き方改革について書いてきました。多分、法の施行は2019年の4月だと思われますが、
重要な法改正の説明をしていなかったので、追記しておきます。
目次
年次有給休暇の確実な取得の実現
「働き方改革実行計画」の本文の中に、次のような説明があります。
<省略>
具体的には、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直しや年次有給休暇の確実な取得などの長時間労働抑制策とともに・・・
<省略>
この法改正について、国会で早期成立を図る。
とあるように、年次有給休暇の取得が早期に義務化されると思われます。
年次有給休暇取得状況について
厚生労働省の公表している「平成28年就労条件総合調査結果の概要」の「労働者1人平均年次有給休暇の取得状況」では、平成27年1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)は、労働者1人あたりの平均は18.4日で、そのうち労働者による取得日数の平均は8.8日となっています。
あくまで平均ですが、すべての企業規模・産業別に見ると5日以上は取得できているようです。
年次有給休暇の取得義務化の施行日について
こちらについては、働き方改革による労働基準法の法改正が2019年4月と言われている中で、
年休取得の義務化についての施行は、2018年4月に施行されるのではないかと言われれいます。
<補足修正>
2018年5月25日に[働き方改革関連法案」が衆院厚生労働委員会で採決され、2019年4月スタートで間違いない思います。
また、年次有給休暇の取得義務日数についてですが、
義務化される日数については、「5日」です。
上段で、現在の取得状況を見ましたが、ほとんどの企業で問題ないと思われますが、
中小企業で、取得できていない企業、事業所は社内環境の整備、風土の醸成が必要となります。
違反した際の罰則について
まだ正確なことは分かりませんが、おそらく労働基準法が改正され、義務化されます。
取得できなかった場合は、労働基準法違反で罰則が付くものを考えられます。
そもそも、労働者が年次有給休暇を請求した場合に、管理者や経営者は拒否できないのです。
拒否すれば、もちろん労働基準法違反として、 6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金 という罰則を受けることになります。
対応方法について
現段階で取得が中々出来ない企業、事業所については次のような課題が考えられます。
- 人手が足りず、業務量が多く、年次有給休暇を取得できない。
- 年次有給休暇を取得できる風土ではない
上記の課題の場合は、全社的な取組として対応しなければなりませんので、早期に対応しましょう。
付与日が労働者によってバラバラの場合
年次有給休暇の付与は、入社後、半年、1年半・・・と入社日によってバラつきがあります。
また年次有給休暇の期限は2年であるので、期限切れについても労働者によってバラつきが発生します。
この場合、 管理がとても煩雑化するので、労働者全員の付与日を一律4月1日にするなどの対応をオススメ します。
また、取得日数などの管理も正確にしなければ、気がついたら5日取得しておらず、法令違反が発生していたと後の祭りになることも。
今では 勤怠管理と年休の管理も可能なクラウドシステムが安価で導入できるので、システムを使用して管理することをオススメ します。
具体的な取得方法等は就業規則に明記することが重要
企業、事業所としては、この改正を踏まえ、年次有給休暇の取得方法や管理方法を就業規則に明記する必要があります。
取得方法、管理方法について実務的な面を考慮すると、出来る限り手間がかからないようにする必要があるでしょうし、分かりやすい運用を目指したいですね。
まとめ
「働き方改革実行計画」の本文にあるように、早期に年次有給休暇の5日間の取得が義務付けられます。
まだまだ年次有給休暇を取得出来ていない企業、事業所は、労働者の年次有給休暇取得の集中が起こらないように、年間スケジュールを考慮しながら、労使で話し合い、計画的に付与していくことが必要です。
採用が困難な時代に突入し、優秀な人材は働きやすい職場に集まります。
有給休暇取得率の高い職場を目指すことも、企業力を高める一つの対策ではないでしょうか。
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