こんにちは。福岡市西区、社会保険労務士の吉田です。
政府与党は、安倍晋三首相が最重要課題と位置付ける「働き方改革関連法案」を2018年5月25日に衆院厚生労働委員会で採決しました。
裁量労働制法案は削除されましたが、「年次有給休暇取得促進」や「高度プロフェッショナル制度」、「労働時間上限規制」は間違いなく、2019年4月の法改正施行に向けて動き出すでしょう。
それらに向けて対応策を考えていきたいと思います。
目次
残業規制(36協定上限設定)の内容
以前書いた記事を参照して下さい。
さらに追加すると、
健康確保措置や労働時間削減に向けたルールの整備も実施される方向で調整されています。
特別条項に「健康確保措置」を定めることが義務化!?
長時間労働によるメンタルヘルス問題等、長時間労働は社会的な問題となっています。
そしてそれらは労働基準監督署調査の重点チェック事項になると考えられます。
そして特別条項を締結する際は、
- 「健康確保措置」の明記
- 労働者代表との協議
- 従業員への周知
上記内容が確実に行われているかまで確認されますので、 作業的に締結している事業所は、協議議事録等も作成保管することをオススメします。
長時間労働に対する「健康確保措置」とは
改正後の36協定残業上限は、前述したとおりですが、これらの数字はどこからきているのかと言うと、
長時間労働における労災認定において、 健康障害の発症2~6ヶ月間で平均80時間を超える時間外労働 をしている場合や、 発症1ヶ月前は、100時間を超える時間外労働 をしている場合も、同様に健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすいとされています。
医師による面接指導を1ヶ月80時間超へ
労働安全衛生法第66条8における面接指導について、現行では1ヶ月あたりの法定時間外労働100時間を超えた場合に、その従業員からの申し出により面接指導を実施しなければならないとされています。
この時間を80時間に引き下げるために省令を改正する検討がなされているとのことです。
労働時間の客観的な把握の実施が義務化!?
労働安全衛生法では、時間外労働が月100時間を超えた人が申し出た場合に医師の面接指導を事業者に義務づけるなど、
労働時間の把握を前提とした仕組みになっているため、労働時間の厳密な把握をしていない企業もあります。
そこで今回の「働き方改革関連法案」の中で労働安全衛生法を改正する法案があります。
労働時間等の把握について「客観的で適切な方法で行わなければならない」などの文言を盛り込むこととされています。
客観的な把握とは、パソコンの使用時間やIC(集積回路)カードによる出退勤時間の記録を想定しており、 管理監督者を含めた全ての労働者を対象 にしています。
また、36協定の残業時間上限の管理を行うにしても、客観的な労働時間の把握は必要不可欠であるため、労働時間の客観的な把握の義務化は間違いないと言えるでしょう!
残業規制(36協定上限設定)の影響と対応策
残業時間の上限が設定されるため、
- 45時間以上の残業が年に6ヶ月以上あると直ちに違法 となります。
→ 慢性的に45時間以上の残業がある事業所は対策が必要です!
36協定における時間管理は、法定時間外労働と法定休日労働のそれぞれを分けて管理する必要があるため
- 客観的な方法による、リアルタイムの時間管理、残業時間把握が可能な仕組み作りが必要 です!
- 36協定の未提出事業所の調査は強化されるので、かならず提出必要があります!
まとめ
今回の残業規制(36協定上限設定)の与える影響はとても大きいことが分かります。
労働時間の適正管理、把握は、労働基準監督署の調査、指導強化により強く求められるでしょう!
自己記入やタイムカードでの時間管理は今後、意味をもたなくなります。
客観的な時間管理、リアルタイムでの労働時間把握が可能な「勤怠管理システム」の導入を強くオススメします。 今なら「勤怠管理システム」の導入で支給される助成金もあります。 法改正の施行を受けてバタバタと慌てる前に、専門家に相談することをオススメします!
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