休憩時間の原則について知る

こんにちは。福岡で開業した元SE×社会保険労務士の吉田です。

昨今の長時間労働問題にともない、「インターバル規制」なる言葉を耳にするようになりました。

多くの職場では、長時間労働が常態化し、長時間労働を前提とした働き方になっていると言っても過言ではありません。

中小企業は人材の不足により、一定の残業が発生しても仕方がない部分はありますが、法令違反は絶対に犯さないよう、労働法関連の知識を深めていきましょう。

今回は、休憩時間についていの知識を深めたいと思います。

休憩時間とは

使用者は、労働者に対して、

  • 労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は、少なくとも45分
  • 労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間

の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

労働基準法34条1項

労働が長くなると、労働者の心身に疲労をもたらし、業務災害が起きやすくなったり、能率が低下したりするおそれもあるので、疲労回復のために休憩時間を与えることとしたものです。

また、 休憩時間とは、労働者が労働から離れることを権利として保障されている時間 であると定義されています(昭22.9.13発基17号)。

さらに、権利として労働から離れることを保障されているか否かは、 労働者がその時間を自由に利用できるかどうかという観点から判断する とされています(昭39.10.6基収6051号)。

なので、「手待時間」は労働者が労働から離れているとは判断できず、休憩時間には当たらないと言えるでしょう。

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2017.03.27

1時間の休憩を与えていれば違法ではない

前段で述べたように、8時間を超える労働を行った場合、1時間の休憩を与えればよいので、

例えば16時間の労働をさせたとしても、1時間の休憩を与えるだけで法令違反になることはありません。

そうは言っても、 過重労働、長時間残業等による健康障害のリスクが高まる 事は避けられません。

1時間を超える休憩、分割の休憩も可能

何度も述べましたが、1時間の休憩を与えていれば法令違反とはなりません。

休憩時間の上限についても規定されていないので、2時間や3時間の休憩を与えることも規制されておりません。

しかしながら、 従業員を長時間拘束することを考えると、やはり必要最低限の休憩時間を与えることが望ましい と考えます。

そして、休憩時間は労働時間の途中に与えれば良いものとされており、まとめてや分割の規定はありません。

ですから、15分の休憩を4回に分けて与えるなどすることも可能です。

しかしながら、 あまりにも細切れにしすぎると、実質的に労働から開放されたとはいえず 、休憩時間に当たらないものとして、労働時間とされる可能性もあるので、注意が必要です。

休憩時間一斉付与の原則

「休憩時間は従業員に一斉に与えなければならない」とされています。

しかし、事業場の過半数組合、または、従業員の過半数を代表する者と、書面による協定を締結すれば、この限りではない(労基法34条2項)。

ただし、運輸交通業、商業、金融、映画、演劇等の一定のサービス業においては、講習の便宜の観点から、一斉付与の原則自体が適用されません。

休憩時間の自由利用の原則

使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない(労基法34条3項)。

休憩時間が労働から解放される時間であることを考えると、当然であり、労働者の自由な行動が保障される時間であると言えます。

しかしながら、自由利用の原則は、 施設管理および職場規律の維持の必要に基づく、合理的な制約を受けます 

例えば、「休憩中の外出」について

事業場内において自由に休憩できるかぎりは、外出許可制(許可制とは、原則的禁止を前提に、許可がある場合に禁止を解除するものです)をとっても差し支えない(昭23.10.30基発1575号)。

としています。

また、「休憩時間中の事業場内でのビラ配布などの政治活動」については、

従業員は、労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩時間中の政治活動は、一般に施設管理権や企業秩序を乱すおそれがあるとして禁止する。(目黒電報電話局事件・最三小判昭和52.12.13)。

としています。

まとめ

実務上よく質問される点としては、とある行動、指示が「労働時間に該当しないか」という点です。

休憩時間中の「電話対応」や「来客対応」など、これらが状態的に発生しているということであれば、労働時間と判断されるかもしれませんので、注意が必要です。

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