こんにちは。福岡市西区の元SE×社会保険労務士の吉田です。
最近、「厚生年金保険・健康保険の加入状況について(お願い)」という文書や「立入検査予告通知」というハガキが届いたとのご相談をいただくことが急増しています。
面識のある事業主様や知り合いの税理士、行政書士等、他士業からの顧問先事業所に関する相談も多くなっています。
国の方針
平成27年度から3年間で、国税庁の所有している源泉徴収義務者データを活用しての集中的な厚生年金未加入企業への加入勧奨が行われることが公表されました。
厚労省の推計によると、約200万人が厚生年金に加入せず国民年金のままになっており、未加入の疑いのある 全事業所の調査を2017年度末までに実施 するとのことです。
2016年4月以降は、法人番号や個人番号(マイナンバー)を活用することで、調査が簡単になりました。
調査が2017年度末までなので、2017年度頃から 強制力を持った社会保険への加入勧奨が進む のではないでしょうか。
文書・電話による要請や訪問指導を行い、何度要請しても加入しない悪質企業に対しては、立入検査に入って強制的に加入させる方針だそうです。
未加入事業所が約80万社、約200万人の未納労働者が存在している事から、年間の年金財源の損失を膨大な額になります。
また、労働人口が減少し、超高齢化社会になりつつある昨今、年金財源確保のために、今後この動きがさらに強くなっていく可能性は高いと思われます。
立入検査予告通知書での調査通知
再三の加入勧奨を無視し続けると、「立入検査予告通知書」が送付され、社会保険加入の是正指導が行われます。
なお、会社の個別事情や業界の慣習などの理由は、一切配慮されることはありません。
立入検査になればほとんどの場合、2年間遡及の厳罰を受ける事になります。社会保険未加入の罰則とは
社会保険の加入義務のある事業所にとって、未加入であること自体、法令違反となります。
では、社会保険に未加入の場合、罰則とはどのようなものになるのでしょうか?
まず、社会保険料未加入の場合、本来支払わなければならなかった未払い分(過去2年間)に関して、納付することが求められます。
一般的に社会保険の費用は、会社と従業員で折半することになりますが、高額の滞納金を従業員に請求できるわけでもなく、もし従業員がすでに退職していた場合などは、会社が滞納金を全て負担することもあります。
また、 ペナルティとして社会保険料の滞納には延滞金が発生する ため、支払い金額はルール通り支払っていた場合よりも大きくなることがあります。
さらには2年間遡及納付だけでなく、悪質な事業者については、健康保険法の罰則として、 6ヶ月以下の懲役や50万円以下の罰金を科される ことがあります。
懲役刑や罰金刑を厳しい罰則を受けるため、社会保険が未加入であるリスクは非常に高いといえます。
2年間の遡及額は
例えば、
◆月給10万円のパートスタッフの場合
月の社会保険料は29,400円 年間で352,800円 2年間で705,600円
◆月給35万円の正社員の場合
月の社会保険料は105,000円 年間で1,260,000円 2年間で2,520,000円
※社会保険料率を一律30%で計算しています。
本来であれば、上記の額を従業員と折半しますので、会社負担分としては上記の半額となります。
が、上記の半額を従業員に請求できますでしょうか??
そうなる前に、 自主的加入されることをオススメします。
自主的加入については遡及されるケースはほとんどなく、現場では弾力的な(事業者に優しい)取り扱いがされているのも事実です。
企業の規模は関係ない
「社会保険未加入の調査は、大きな企業や、稼いでいる企業しか対象にならないだろう」と思われていませんか?
夫婦二人で経営している株式会社様よりご相談いただくというケースもあります。
調査、加入勧奨の対象として、企業規模、資本金の大小は全く関係ない ことが分かります。社会保険未加入のリスクまとめ
上記で説明した通り、加入義務がある事業所の未加入、未納に対する調査や罰則規定が強化されています。
そのため、加入義務があるのに加入してない事業所は注意が必要です。
社会保険料は、会社を経営していく上で資金繰りにも大きく影響してきます。
が、 一番大きな影響は、優秀な人材を確保できなくなる ということではないでしょうか!?
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