こんにちは。福岡市西区の元SE×社会保険労務士の吉田です。
今回は、休暇と休日の違いについて
この違いを知っていれば、一歩踏み込んで、年間休日の設定や、賃金設計が可能となりますので、是非理解しておきましょう!
休暇とは
休暇とは本来労働義務がある日ですが、労働者の求めにより、その労働義務が免除される日の事を言います。
法で定められている休暇として、年次有給休暇、産前産後休暇、生理休暇、育児休暇、介護休暇があります。
さらに、会社独自の制度として夏季休暇、年末年始休暇があります。
休日とは
労働契約上、あらかじめ定められた労働者が労働義務を負わない日をいいます。
1.使用者は労働者に、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
2.前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
(労働基準法35条)
第2項がよく分かりませんが、
要は、
- 週1回の休日を与える
- 4週間で4日以上の休日を与える
このどちらかを満たせばいいわけです。
で結局、最低年間休日は何日必要なのか??
1年が365日・・・
1年に365/7=52.14週・・・
ということで、最低53日ぐらいの休日を与えれば労基法違反とはならないようです。
しかしこれでは、人材が集まりませんよね・・・。
しかも、1日の所定労働時間が8時間の場合、
8時間×6日 = 48時間/週 で、労基法違反となります。
週1日の休日のみの場合は、週の所定労働時間が40時間となるように、1日の所定労働時間を設定する必要があります。
所定労働時間への影響について
さて、休暇と休日の違いを説明しましたが、
では、この 休暇と休日が影響を与える一番大きな点は、所定労働時間 です。
所定労働時間は、残業代の計算の基礎となる単価を求める際に使用されます。
残業代単価 = (基本給+諸手当)/ 1ヶ月平均所定労働時間
ここで、休暇は「労働日だが免除された日」、休日は「労働日でない」という事を頭において
1日所定労働時間8時間、年間休日120日、夏季休暇3日、年末年始休暇5日 の場合
1ヶ月平均所定労働時間 = (365-120) × 8 / 12 = 163.33時間
1日所定労働時間8時間、年間休日110日、夏季休暇3日、年末年始休暇5日、特別休暇10日 の場合
1ヶ月平均所定労働時間 = (365-110) × 8 / 12 = 170時間
上記の例)を見ると、1年間の休暇、休日数の総数は同じですが、
年間休日を減らすと、1ヶ月の平均所定労働時間数が増える ということが分かります。1ヶ月の平均所定労働時間数が増えると残業代単価が下がる ということになります。
休日の減少は、不利益変更となります
ここまで読まれると「よしッ、休日を減らして、休暇を増やそう」と思われたかもしれませんが・・・
一方的な休日の減少は、不利益変更につながり違法とされていますので、ご注意下さい!
残業代の計算の基礎となる単価が減少し、不利益な変更と捉えられます!
従業員を採用する際に、「雇用契約書」や「労働条件通知書」で労働者との合意を得ているかと思います。
それを後日、使用者の一方的な都合で変更することはできません。
法に沿った手続きを
不利益な変更を行うには、
- 労働者の個別の同意
- 変更の合理的な理由
などが求められます。
残業代単価を削減させるという事を理由に、休日の減少をさせることは難しいかもしれません。
これから社内規程等を策定される事業所等は、参考にしてください。
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