給与明細電子化は法令上問題なし!でもデメリットも多数

こんにちは。福岡市西区の元SE×社会保険労務士の吉田です。

みなさん、毎月給与明細を貰ったら、チェックしていますか?

配偶者に見られないように、机の引き出しに溜め込んだりしていませんか?

スマホ等の普及により、最近の企業ではこの給与明細について電子化が導入されつつあります。

給与明細を電子化の導入手続きについて解説したいと思います。

 

紙の給与明細書は、様々なコストがかかる

会社にとっては毎月の給与明細の発行と渡すという作業は、かなりの負担を伴います。

私も総務で給与担当をしていましたので、この手間がかなり面倒くさいことを知っています。

A4の用紙に2名分印字され、それを切って、いい具合に折り、封筒に入れる。そして手渡し・・・

もちろん、配布の仕方や紙の種類など企業によって様々だと思いますが、時間と消耗品費のコストが多くかかるという悩みはどこも共通なのではないでしょうか!?

しかも、給与計算をしてから明細配布までに若干のラグがあるので、配布し忘れたこともありました。。

 

給与明細発行に関する法律

労働基準法では、給与明細の交付を求める条文はありませんが、行政通達(30基発0930001号)で、労働者への給与明細(計算書)の交付を求めています。

しかし、この通達も「紙」での交付までも求めていませんので、何かしらの手段による計算書の交付であれば問題ないことがわかります。

 

また、給与支給の際に控除される、社会保険や所得税について、健康保険法や所得税法でも計算書の交付についての条文があるようです。

簡単に説明しますと、

  • 控除した際に、給与支払い明細書を交付する義務がある
  • その控除額を被保険者に通知しなければならない

こちらについても、「紙」での交付まで求めていません。

 

しかし、所得税法については、

従業員から請求された場合は、書類で交付すること

という条文が存在します。

給与明細の電子化についての注意点

説明した通り、給与明細を電子化することは法令上可能ですが、所得税法上で問題となる「従業員から紙での交付」を求められた場合が最大のポイントとなります。

これを解決するための方法として、 事前に従業員から同意を取得する 事だと思います。

会社の規模にもよりますが、人数が少なければ同意書を取得するなど考えられます。

最近の給与明細電子化のシステムでも、ログインする際に同意ボタンが設置されていたりしますので、簡単に同意も取得できるようになりました。

 

本当に費用削減になるの??給与明細電子化のデメリット

多くの企業で、給与明細の電子化が進められているようですが、意外なことに、手間が増えたとか、コストが増えた等の声を聞くことが多いです!

理由は、

  • 給与明細の電子化を行うシステムに毎月費用がかかる
  • 結局、従業員が明細を印刷している
  • ネット環境のない従業員には個別の対応が必要
  • 個人情報流出のリスクが増えた

など、さまざまなデメリットもあるようです。

 

上記のデメリットも、企業によって様々だと思います。

自分の企業ではどのような事が考えられるか、よく検討されてから進めて下さいね。

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