試用期間中の解雇について解説

こんにちは。福岡市西区の元SE×社会保険労務士の吉田です。

今回は、会社の社長や、人事担当者からよくある質問として

「勤務態度の悪い試用期間中の従業員を解雇したいのだけど・・・」

という、試用期間について解説します。

試用期間とは

試用期間とは、入社後の一定期間の間に、従業員としての人物・能力などの適格性を観察・評価するために企業が設けた期間であると考えます。

試用期間中は、 解約権留保付労働契約が成立している と考えられます。

 

解約権留保付労働契約とは

雇用契約の締結時に、試用期間中に不適格であると認められる合理的な理由があった場合に、その雇用契約を解約できるという「解約権留保」が付与された雇用契約と解されます。

しかしながら、一般的に自由に解約出来るワケではなく、「解雇権濫用法理」により、客観的な合理性と社会通念上相当として是認されるか問題となりますが、通常の解雇よりも広い範囲の解雇が認められるとしています。

試用期間における解雇について

多くの経営者、人事担当者から以下のような相談を受けることがあります。

  • 勤務態度が悪いから、本採用をしなくてよいか?
  • 指示したことが出来ず能力が低い・・・。解雇しても問題ないか?
  • もう少し適正を見たいから、試用期間を長くしてよいか?

 

前段にも説明しましたが、解雇を行うには、

  1. 客観的な合理性
  2. 社会通念上相当として是認される

を満たした場合に許されます。

試用期間における解雇についての判例を知る

それでは、過去の判例を見てましょう。

どのような場合に、客観的な合理性を持ち、社会通念上相当として認められるのか

三菱樹脂事件 最大判昭48.12.12

労働者Xが採用面接の際に、大学在学中の学生う運動等の事実を秘匿し、虚偽の回答をしたことを理由に、3ヵ月の間の試用期間満了直前に、本採用拒否したことについて、裁判所は雇入れ拒否を認めた事案

 

裁判所は、秘匿等にかかる団体加入や学生運動参加の内容、程度等にとくに違法にわたる行為があったかどうか、ならびに秘匿等の動機、理由等の事実関係に照らして、Xの入社後における行動、態度の予測やその人物評価等に及ぼす影響を検討し、それが企業の採否決定につき有する意義と重要性を勘案し、これらを総合して上記の合理的理由の有無を判断しなければならないとした。

ファニメディック事件 東京地裁 平成25.7.23

労働者Xは、動物病院(株式会社)に獣医師として採用されたが、試用期間中の能力不足、同僚との協調性が乏しいこと、必要な教育の受講を拒否したことを理由として、本採用を拒否し試用期間満了で解雇した事案

裁判所は、業務上のミスについては不注意の域を出ず、その後に繰り返されているわけではないから過大に評価すべきではない。また、致命的なミスとはいえず、一定の配慮があってしかるべきであり、獣医師として能力不足であって改善の余地がないとまでいうことはできないとした。

協調性の欠如については、具体的な事実関係を認定するに足りる的確な証拠がない。

以上の諸事情を併せ考えれば、本件解雇は、留保解約権の行使としても、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認されうる場合に当たるとはいい難く、留保解約権の濫用として無効というべきであるとした。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

試用期間とは、その従業員が業務の適格性を持ち合わせているかを判断する期間であり、もし持ち合わせていないとした場合に、本採用を拒否できる解約権が留保された雇用契約であるとしています。

さらに、この解約権は通常の解雇よりも広い範囲で行使することが可能である。とされています。

が、裁判例を見ても分かるように実際のところ、その行使は、 解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認されうる場合 でなければならない。

とされていますので、簡単に能力がないから、勤務態度がないからという理由だけで判断することはオススメしません。

 

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