本当に2019年4月に施行されるのか 働き方改革の概要

こんにちは。福岡市西区の社会保険労務士 吉田です。

「働き方改革」という名の下、一億総活躍社会の実現に向けて、女性も男性も、高齢者も若者も、障害や難病のある方も、一人ひとりのニーズにあった、納得のいく働き方を実現する

というゴールに向かって安倍内閣は、2016年度9月に担当大臣を含む関係閣僚と有識者15人から構成される「働き方改革実現会議」を設置し、10回にわたって議論してきました。

今回、その会議の集大成である「働き方改革実行計画」が発表されましたので、その概要と今後の対応等のポイントを解説したいと思います。

法改正の大きなポイントとしては2つ

長時間労働の是正 36協定に上限を設置

某広告代理店企業の長時間労働による労働者の自殺等、長時間労働による精神疾患や体調不良を訴える労働者が増えている事が背景としてあります。

また、長時間労働は以下の点に影響を与えていると政府は考えているようです。

  • 健康、体調面への影響
  • 仕事と家庭生活との両立が困難
  • 少子化への原因
  • 女性のキャリア形成を阻む原因
  • 男性の家庭参加を阻む原因

現行の時間外労働規制の問題点

労働基準法では、「1日8時間、週に40時間を超える労働を禁止」しています。

残業をさせたい場合には「36協定」を締結すれば、原則、月45時間以内、かつ年360時間以内までなら残業をさせることが可能です。

しかしこの規制については、罰則等による強制力がない上に、臨時的な特別な事情がある場合として、

 労使が合意して特別条項を設けることで、上限無く時間外労働が可能となっている のです。

今後の時間外労働規制の方向性について

原則としての、月45時間以内、かつ年360時間以内については変わりませんが、

特別条項に上限が設けられることになりました。

ポイントとしては以下のとおりです。

  • 年間の時間外労働が720時間(月平均60時間)
  • 2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の平均でいずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内
  • 単月では、休日労働を含んで100時間未満
 時間外労働と休日労働が分けて使われていることに注意 して下さい。

さらに、 これらの上限が労働基準法に明記されることで、違反した場合に罰則が適用される ことになります。

月の時間外労働が60時間を超えている事業所については、法が施工されるまでの間に是正する必要があります。

 

労働基準法の改正時期について

具体的な実施スケジュールとしては

2017年12月にこれら働き方改革の法案成立し

 2019年4月の施行 に向けて、

2018年は準備期間ということになるとされています。

 

時間外労働上限規制以外の改正について

上記では、長時間労働を是正するための法改正として、36協定の見直し、時間外労働に上限を設ける内容を説明してきましたが、影に隠れて、

以下の点についても、国会で早期成立を図っているとされています。

中小企業における月60時間長の時間外労働に対する割増率の見直し

現行法では、法定労働時間を超えて労働をさせた場合、通常に支払われる賃金に割増を付けて支払うこととされています。

通常の時間外労働であれば、2割5分増しですが、

 月60時間を超える時間外労働については、5割増し と定められています。

しかしこの月60時間を超える時間外労働についての割増率については、中小企業では猶予されていたのですが、

今回の法改正で早期に撤廃され、中小企業でも適用されるのではないかとされています。

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年次有給休暇の取得の促進

一億総活躍社会の実現を目指す中で、ワークライフバランスが重要であることを掲げ、

年次有給休暇の取得促進を目指しています。

内容としては、「年間5日間以上の取得」が義務付けられる事になります。

さらに、この内容を労働基準法に明記することで、違反した場合の罰則も適用させようとしています。

さらにさらに、この内容については、上記の2019年4月の法改正に合わせるのではなく、

2017年12月の法案成立の次の4月(2018年4月)から施行されるのではないかとされています。

2018年5月25日に「働き方改革関連法案」が衆院厚生労働委員会で採決され、「年次有給休暇取得促進」については、2019年4月施行でほぼ間違いないと思います。

多くの中小企業では、年次有給休暇の取得が進んでないこともそうですが、年休の管理についてもままならない事業所が多いのではないでしょうか。

これら管理についてもシステム投資や規則の改定等が求められる事になりますので、来年4月に向けて準備をする必要があります。

 

最後に

今回の法案や政府の進め方を見ても、本気で働き方を変えよう!としていることが分かります。

内容につては賛否ありますが、法案が成立してしまったらそれに従うしかありませんので、動向を注視し、組織として対策、対応を取らなければなりません。

現状、時間外労働が月60時間を超えるような事業所(一部例外事業あり)は罰則を受ける可能性が高くなりますので、早期に対策を検討しましょう。

長時間労働是正の概要だけで長くなったので、「同一労働同一賃金」については次回

 

 

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