給与計算の処理でたまに見かけるのが、1日単位で15未満の残業を切り捨てる処理を行っている事業所が多くあります。
私の知り合いからも、自分の会社がそういう処理をしているのは問題ないのかと聞かれることがたまにあります。
日常の労働時間を管理する際に、15分未満の残業時間をカットして、カットした時間外労働分の残業代を支払わないことは、労働基準法違反になります。
さて今回は、残業時間の取扱いについて確認しましょう。
厚生労働省通達によると
(1)
1ヶ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
(2)
1時間あたりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
(3)
1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、(2)と同様に処理すること。
要は、上記のルールに則っていれば、端数処理をすることは認められており、残業時間や賃金を切り捨てても問題ありません。
時間外労働の端数処理は
1ヶ月の残業時間(時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計)に、1時間未満の端数がある場合
- 30分未満の残業時間を切り捨てる
- 30分以上の残業時間を1時間に切り上げる
例えば・・・
①1ヶ月の時間外労働の時間が19時間15分なら → 端数処理をすると19時間となります。
②1ヶ月の時間外労働の時間が19時間40分なら → 端数処理をすると20時間となります。
②の場合、19時間30分にしたり、19時間にすることは不可能なので注意して下さい。
賃金の端数処理は
1時間あたりの賃金額および割増賃金額(残業代)に、1円未満の端数が生じた場合
- 50銭未満は切り捨てる
- 50銭以上は1円に切り上げる
例えば・・・
①1時間あたりの賃金額および割増賃金額(残業代)が1499円40銭の場合
→ 端数処理をすると1499円となります。
②1時間あたりの賃金額および割増賃金額(残業代)が1499円80銭の場合、
→ 端数処理をすると1500円となります。
まとめ
残業時間や1時間あたりの残業代を誤ったまま賃金計算を行っていると、残業代未払い等をめぐりトラブルになる可能性もありますので、就業規則、賃金規定等で予めルールを定め、従業員に周知しておくことをオススメします。
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