独立・開業・起業 従業員を採用したらまずやること!(労働保険)

独立、開業、起業、スタートアップを検討している。またはもう実行するために準備をすすめている皆さん!

この時期はやること、やらなければならないこと満載で、「何か忘れていることはないか・・・」とすごく心配になられているのではないでしょうか。

また、本業の方でもやることがいっぱいで、余裕がないのではないでしょうか。スタートダッシュを決めるためにも、そういう時は、社会保険、労働保険の専門家である社会保険労務士に書類作成、提出の委託をすることをオススメします。

労働保険(労災保険、雇用保険)の手続き

従業員を1人でも雇い入れると、労働保険の適用事業所となり、労働保険加入の手続きを行わなければなりません。次の手続きを順に確認し、手続きを行って下さい。

※ 添付書類は、所轄労働基準監督署・公共職業安定所によって異なる場合があります。事前に事業所の所在地を管轄する労働基準監督署・公共職業安定所に問合せをして確認してください。

労働保険 適用事業報告書

事業を開始し、労働者(パート、アルバイトを問わず)を1人でも雇用することになった場合は、業種に関わらず、労働基準法が適用されますので、「適用事業報告」を労働基準監督署に提出する必要があります。

提出先

各々の事業場を管轄する労働基準監督署(本店と支店では提出先が異なることになります。)

注意点

  • 同居の親族のみを使用する場合は、労基法の適用になりません。
  • 労基法は、「事業所」を単位として適用されるので、各事業所を管轄する労基署で諸手続きを行います。

労災保険 保険関係成立届

労働者を1人でも雇用して事業を開始すれば、その事業を開始した日に自動的に労災保険が成立します。

保険関係成立届は、組織として一つ提出するのではなく、支社や営業所、工場などのように事業所単位で提出します。

また、労働者は正社員、パートタイマー、アルバイト、日雇い労働者等、雇用形態に関係なく労災保険が適用されます。

なお、使用労働者数が5人未満の個人経営の農林水産の事業は、原則として労災保険の適用がありませんが、内容によっては適用されますので、注意が必要です。

適用事業の種類

次の事業を除き、基本的には一元適用事業と呼ばれ、労災保険と雇用保険の保険料申告・納付を一元的に取り扱います。

  • 都道府県および市町村が行う事業
  • 上記に準ずるものの事業
  • 港湾労働法の適用される港湾の運送事業
  • 農林、水産の事業
  • 建設の事業

※一元適用事業以外の事業(上記の事業)を二元適用事業と呼びます。二元適用事業は、労災保険と雇用保険の申告、納付を二元的(別々)に取り扱います。

提出先

一元適用事業 → 事業所を管轄する労働基準監督署

二元適用事業 → 労災:事業所を管轄する労働基準監督署、雇用:事業所を管轄するハローワーク

提出期限

保険関係の成立の日から10日以内

添付書類

  • 法人の登記簿謄本(写し可)※事業場の所在地が本店所在地と異なる場合は、事業所の賃貸契約書の写し
  • 個人事業主の場合は、住民票(写し可)
  • 労働保険概算保険料申告書

注意点

  • 労災保険は、事業の種類によって保険料率が変わります。事業の種類を間違えないよう、事業の概要は具体的に記入して下さい。

労災保険 概算保険料申告書

会社の設立等により、初めて従業員を雇用したときは、年度末までの労災保険、雇用保険についての従業員に支払うであろう見込の賃金総額に対する保険料を申告納付します。

提出先

一元適用事業 → 事業所を管轄する労働基準監督署

二元適用事業 → 労災:事業所を管轄する労働基準監督署、雇用:事業所を管轄するハローワーク

提出期限

保険関係の成立の日から50日以内(有期事業の場合は20日以内)

延納とメリット制について

労働保険料を分割して納付することを延納と言います。年度の途中で保険関係が成立した場合(年度の途中で事業を開始するなど)の延納回数は、次のとおりその成立時期により違います。

期の範囲納期限
第1期4月1日から7月31日まで7月10日
第2期8月1日から11月30日まで10月31日
第3期12月1日から3月31日まで1月31日

また、返納するには継続事業(一括有期事業を含む)であり、次のいずれかに該当する事業主が延納の申請を行う必要があります。

  • 労働保険事務を労働保険事務組合に委託していること(概算保険料額は問われない)
  • 委託していない場合は、概算保険料の額が40万円(労災保険または雇用保険の一方のみが成立する事業は20万円)以上であること

メリット制は、労働災害発生の少ない企業は労災保険率を一定範囲内で低くくなり、労働災害の発生が多い企業は労災保険率を高く設定するものです。

労災保険率は事業の種類ごとに定められています。事業の種類が同じでも、その事業所が労働災害の防止に関して積極的で、労災防止の努力を行っている企業と、努力を行っていない企業の不公平感をなくす為に労災保険率差を設ける、メリット制という制度が導入されています。

雇用保険 適用事業所設置届

事業所で雇用保険の被保険者となる従業員を1人でも雇用した場合は、雇用保険に加入義務のある適用事業所となります。

しかし、個人経営の農林水産業で5人未満の従業員を雇用している事業所は、任意加入の事業者となります。この事業所が雇用保険に加入したい場合は、従業員の1/2以上の同意が必要となります。また労働者の1/2以上が加入を希望した場合は任意加入の事業所であっても加入義務が発生します。

提出先

事業所を管轄するハローワーク

提出期限

雇用保険が対象の従業員をはじめて雇用した日の翌日から起算して10日以内

添付書類

  • 事業所の法人登記簿謄本(写し可)(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 賃貸契約書、営業許可証等の写し(登記と事業所の所在地が異なる場合)
  • 事業開始届、給与支払事務所の開設届(控え)の写し(税務署提出済みのもの)等で事業の開始を証明できるもの
  • 保険関係成立届(事業主控え)
  • 被保険者となる者全員の「雇用保険被保険者資格取得届」
  • 労働者の雇用の事実が確認できる書類(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿等)

注意点

  • 任意加入の事業所が加入する場合は、被保険者となる従業員の1/2以上の同意書を添付すること
  • 労基署に「保険関係成立届」を提出した後に、この書類を提出します。

雇用保険 被保険者資格取得届

被保険者となる資格要件を満たす従業員を雇い入れた時は、雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要です。

被保険者となる資格要件

31日以上雇用されることが見込まれ、1週間の所定労働時間が20時間以上の者

提出先

事業所を管轄するハローワーク

提出期限

従業員を雇い入れた日(資格要件を満たすこととなった日)の属する月の翌月10日まで

添付書類

  • 雇用保険適用事業所台帳
  • 雇用契約書や出勤簿、賃金台帳など(雇入れの事実や雇い入れた日が確認できる書類)

なお、次に該当する場合を除き、添付書類の提出は不要となりました。(確認のため、提出を求められる場合もあるようです。)

  • 事業主として初めて「雇用保険被保険者資格取得届」を行う場合
  • 「雇用保険被保険者資格取得届」を提出期限を過ぎて提出する場合
  • 過去3年間に不正受給等が合った場合
  • 労働保険料の納付状況が著しく不適切である場合

個人番号登録・変更届出書

平成28年1月1日から雇用保険の書類などに個人番号(マイナンバー)を記入し届け出ることになりました。

なお、平成27年までに雇用保険の資格取得し、個人番号を届出ていない場合、雇用継続給付(高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付)の申請の際に提出します。

提出先

事業所を管轄するハローワーク

注意点

  • 会社が個人番号を記入する場合は、番号の確認と身元確認が必要です。
  • 会社が個人番号を取得する場合は、事前に利用目的の明示が必要です。

まとめ

以上、従業員をはじめて雇用した場合に必要な労働保険関連の書類について説明しました。その他、社会保険関係等の書類も必要となりますので、ご注意下さい。

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