先日、コンビニエンスストアでアルバイトをしている高校生が、数日風邪で欠勤したため、代替要員を探せなかったペナルティとして、欠勤した時間分の給与が控除されていた、というニュースがありました。
最近、ブラック企業だけではなく、ブラックバイトという言葉をよく耳にするようになりましたが、今回報道されたようなことは日超茶飯事的に起き、まだまだ氷山の一角なのかもしれません。
さて、加盟店の行動に対して某コンビニ本部は次のコメントを発しています。
「代わりを探すのは雇用主の責任。労働基準法で定めた減給制裁の上限も超えている」
ということで今回は、「従業員が風邪で欠勤し、代替要員が探せなかったペナルティとして労基法で定められた減給制裁の範囲内であれば、賃金を控除出来るか!?」を検証してみたいと思います。
そもそも、減給の制裁って何?
労働基準法第91条に次のように定められています。
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
とあり、「懲戒処分」の一つなのです。
減給とは
「減給」とは、従業員が働いて、その分に対する賃金が発生(賃金請求権)しているにも関わらず、その賃金から一定額を差し引くことをいいます。「罰金」も同じ意味です。
欠勤した場合に、減給は可能か!?
「減給」は、賃金請求権が発生しているにも関わらず、一部を差し引ことをいいます。
「欠勤」した場合、従業員は働いていないのだから、そもそも「賃金請求権」が発生していません。
ということは、
欠勤や遅刻や早退を理由とした賃金のカットは、賃金請求権が発生していないので「減給」には該当しません。
欠勤や遅刻、早退を理由する場合は「減給による賃金カット」ではなく、「ノーワーク・ノーペイ」の原則から、賃金が支払われないだけなのです。
しかし、10分遅刻したのに30分に切り上げて賃金をカットする場合は、切り上げた20分間に当たる部分の賃金カットは「減給」に該当します。
代替要員を探せなかったペナルティとしての「減給」は可能か!?
今回の、コンビニで働くアルバイトからの賃金カットは、「代替要員を探せなかったペナルティ」として賃金をカットしたということでしたが、そのような理由で賃金のカット「減給」は可能なのでしょうか。
合理的な理由が必要
前述の通り、「減給は懲戒処分の一つである」といいましたが、懲戒処分を行うには、その発端となった労働者の行為が客観的に見て合理的な理由であり、社会通念上妥当であると認められる事が求められます。
少し難しい説明になりましたが
懲戒処分を行うには、客観的に、世間一般的に「そんな事した従業員が悪いよね!!」と思われるような理由が必要となります。
ということから考えると今回の件は、「店長、ちょっとそれはやりすぎでしょ!?」と感じる人が多数ではないでしょうか。
私の私見としても(今回報道されている内容だけを受けて)
- 体調不良による欠勤であり、連絡もしている
- 代替要員を探すのは管理者の役割
という理由から、ペナルティとしての減給は「ちょっと、やりすぎ!」だと考えます。
まとめ
すでにこのコンビニ、特定が完了し2chでは晒されているようです。
懲戒処分を行う際は、慎重に行わなければなりません。
管理者は、労働基準法に関する基本的な事項については、知っておく必要がありますね。
今回の件については、もっとコンビニ本部がオープン準備中の期間に、指導すべきですね。
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